2018年10月26日
各社の営業課題として「新規開拓」が真っ先に上がるほど、顧客獲得のハードルは高まりつつあります。
そのような中、テレアポや飛び込み営業と比較して効率性の高い「メール営業」を好む営業マンは多いのではないでしょうか?
しかし、顧客からの信頼獲得が必須と言える営業シーンにおいて、「特定電子メール法」の知識は必要不可欠でしょう。今回は、法律の中身に触れつつ、メール営業を行う上で知っておくべきポイントについてご紹介します。
■メール営業に関して「よくある誤解」
メール営業では、テレアポのように“あからさまに断られるシーン”が少ないことから、テレアポや飛び込み営業と比べて心理的な負担はあまり大きくありません。一方で、そこに思わぬ落とし穴が潜んでいることは見落とされがちです。例えば、メール営業については次のような誤解がなされているようです。
誤解① きちんと名前を名乗り、署名を付ければ問題ない
「きちんと名を名乗れば問題ないだろう…」という認識は、ずばり誤り。なぜならば、メールを送る場合にはその相手との「関係性」と「メールアドレスの取得元」が重要だからです。例えWebサイト上にメールアドレスが掲載されていても「営業メールはご遠慮ください」などと書いてある場合には、送付はNG。法に触れることになるため注意が必要です。
誤解② リスト販売会社から購入したリストであればメールを送ってよい
効率的なメール営業を行う上ために「ターゲット企業のリスト」は欠かせません。リスト販売会社から特定の企業リストを購入している会社も少なくないはずです。「お金を出して買ったリストなのだから、こちらから営業メールを送っても構わないのでは?」と考える方も多いと思いますが、これは実はNG。後にご紹介するオプトイン(事前にユーザーの同意)がなければ、営業メールを送ってはいけません。
■罰金もあり得る「特定電子メール法」とは?
2008年に「オプトイン規制」が盛り込まれ、業界でも話題になった「特定電子メール法」。2002年に初めて法律が成立して以来、徐々に適用範囲が広げられてきました。
最大のポイントは、広告宣伝に関わるメールは「原則としてあらかじめ同意した者に対してのみ」認められるというもの(オプトイン方式)。スマートフォンが普及する現在、eメールのみならず、SMS(ショートメッセージサービス)も対象に含まれています。
この法律に準拠しなかった場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるため、十分な注意が必要です(受信拒否者への送信や表示義務違反を行った場合)。
このような前提の元、営業やマーケティングに携わるならば、次の3つのポイントは最低限押さえておく必要があります。
■必ずチェックしたい3つのポイント
各項目を記録・管理することは目的ではなく手段です。だからこそ、前述のように「次回のアクション」に繋げていく必要があります。
ここで一つ意識したいことは、「受注確度」と「次回アクション」についてです。自社と見込み客は、常に一対一の関係になっているとは限らず、競合他社や見込み客社内の関係者など、複数のプレイヤーが存在しています。意思決定や導入を急いでいれば急に受注確度が上がることもあります。逆に、競合他社の台頭によって受注確度が下がることもあるのです。
つまり、各案件の結果はタイミング次第で大きく異なるということ。「受注確度」と「次回アクション」を軸に据えて、今後のアクションプランを設計することで、重要な機会を逃すことなく営業アプローチを行うことができます。
①予め同意を得た者以外には、営業メールを送ってはいけない
「特定電子メール法」では、営業(広告宣伝)メールを送ってよい相手は、あくまでも「予め同意を得た者のみ」とされています。例えば、お問い合わせフォームからの問い合わせや、会員登録時に「弊社からのメール配信を希望する」といった同意(許諾)を得るためのチェック欄を設けておき、それにチェックを入れてもらうという形です。
ただし、ここには例外があります。次の場合には、同意なしに営業メールを送ることが可能です。
・既に取引関係(名刺交換をした人も含む)にある者に送信する場合
・何らかの手段で電子メールアドレスを通知している場合
・事務連絡や料金の通知などに関わる電子メール
・非営利団体が送信する電子メール
なお、Webサイト上などにメールアドレスが掲載されていた場合であっても、「広告宣伝メールを送信しないように求める文面」が書かれていた場合には、許諾無しにメールを送ることはできないとされています。
②同意を得た場合、その証を記録しておかなければならない
同意(許諾)を得ることができた場合、その内容は「該当するメールアドレス」「取得時期」と合わせて記録しておく必要があります。そして、この記録は広告宣伝メールを送らないとした日から「1ヶ月間が経過するまで」の間は保存しておく必要があります。
③必要事項の表示義務を果たさなければならない
営業メールを送る際には、内容の判別がつきやすいように次の内容を記載する必要があります。
・送信責任者の氏名
・オプトアウト(許諾の解除)の手順や連絡先
また、メールではなく、メールに記載したリンク先での記載でもよいとされている内容に、以下の項目があります。
・送信責任者の住所
・問い合わせを受け付ける電子メールアドレス
(電話番号の表示は推奨事項)
■デキる営業マンが実践しているテクニック
「特定電子メール法」では、営業メールを送る際の必須事項が細かく定められていますが、これらはいわばMUST事項。デキる営業マンは、これらの内容を踏まえた上で、新規顧客と信頼を築くために様々な工夫を施しています。
例えば、「相手から共感を得ること」。営業メールを受信する側の目線で考えると、一日に何通ものメールを処理しており、そこに何通もの営業メールが送られてくる…という状況が想定されます。そのような方々にメールを送る以上、「貴社を理解しています(理解する努力をしています)」というスタンスが文面に表れていることは必須条件と言えるでしょう。
加えて、「相手に役立つ情報(メリット)を提示すること」も欠かせません。意外なほどに自社の商品・サービスの説明に終始している営業メールは多いものです。まずは「その商品を売りたい」という気持ちを押さえ、相手が興味を持つ情報をシンプルに伝えましょう。
■ターゲットに応じた営業施策の立案が肝
営業メールは一度準備すれば、2通目以降はコピー&ペーストで出来上がります。しかし、量産したメールの文面は簡単に見透かされてしまうもの。効果を最大化するためには、自社にとって重要度の高いターゲットに送るメールの文面はある程度カスタマイズが必要でしょう。
ターゲットに応じて、「どうすれば共感を得られるか」「何が相手に役立つのか」という基礎調査を行った上で、最適な施策展開をしていきたいものです。